昼食前のお昼寝で取り戻した生活リズム
一般的にお昼寝というと午後にとりますが、当園では平成8年度より午前寝を採用しています。これだと60分の睡眠でも寝起きがすっきりで、着替えてちょうど12時から昼食ができるようになっています。寝てから食べるので、乳児の眠り食べも見られなくなりました。
午後にお昼寝をしていた平成8年度以前には、大宝保育園にも夜更かしや朝寝坊の子どもがたくさんいました。8時ごろに起きてボーっとして登園、11時半ごろに給食を食べて、やっと目が覚めてきたころにまた昼寝して、起きたらボーっとおやつを食べて、また脳が動かなくなって、夕方になったら、今度はランランとしてきて夜遅くまで元気になってしまう。そういう生活の子どもが多くいました。昼間イキイキと過ごせなかったら、どんなにいい保育をしても効果がありません。
年1度、大宝八幡宮に高砂部屋が合宿に来る時は午後午睡をしますが、どうしても60分では足りないようで、1時間半~2時間寝てしまうのです。このように、午後に2時間寝てしまうと、「夜、早寝してください」と、保護者に呼びかけても無理な話なのです。保護者ばかりに要求するのではなく、園でも対策をとらなければなりません。
そして、午前午睡を始めたのですが、当初は、夕方早く眠くなってしまって、ご飯も食べられないし、お風呂にも入れない…と苦情が相次ぎました。習慣になっている1日のあり方を変えることは簡単なことではなく、保護者の苦情と職員の反感に押しつぶされそうになりながらも、「夕飯よりも睡眠の方が大事、お風呂に入らなくても平気!」と、午前寝を強行してきました。
数か月過ぎたころ、効果が見えてきたのです。朝からあくびの子、ボーっとしている子がいなくなりました。早寝早起き、ハイハイ運動で元気になり、逆上がりができる子が圧倒的に増えたのです。子どもが変わることによってスタッフ始め保護者の意識も変わりました。
![]() 午前中のお昼寝は、子どもたちに生活の張りを呼び戻した |
午前寝に変えたばかりの時は「これでいいのかな?」という不安がありましたが、子どもの変化とともに自信に変わり、今では確信になっています。加えて、年間を通して室内は裸足、外は素足に草履の生活で、運動も毎日行なっていますから、低体温児は皆無、丈夫で風邪を引いたとしても回復も早いです。小学校に行っても運動面等で活躍しているという嬉しい報告をよく耳にします。
社会は夜型になっていますが、「不易と流行」という言葉の通り、早寝早起きは三文の徳とも言います。単に「子どもはそうするもの」というルールに止まらず、子どもの発達にとってとても重要なこととして捉えたいです。
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ー平成21年“EM環境マガジン”(11回連続掲載)より抜粋ー