ふるさとだより

母の日に出会った作文

2013/05/15

かつて森信三先生が「日本教育界の至宝」と称えた伝説の教師がいました。 その人の名は東井義雄(1912~1991年)氏。 師範学校卒業後、故郷である兵庫県で 小中学生の教育に当たり、その生涯を全うされた方です。

一昨年この講演集『自分を育てるのは自分』に出逢い、先週『子どもの心に光を灯す』を読み、母の日にちょうど次に紹介する生徒の作文に出会ったので紹介します。

「父母と教師は今何をどのように」
「父親は何をなすべきか 母親は何をなすべきか」 という2つの講演が、様々なエピソードを交えながら東井氏の口調そのままに収められています。心に響く内容です。     *        *        *
 だいぶ前になりますが、全国の小学校の子ども達から、「お母さん」という作文を集めたことがございます。
 その時に、横須賀市の沢山小学校の、浦島君という1年生の男の子の作文が入選しました。
 ちょっとそれをお聞きください。
『ぼくのむねの中に』
“「おかあさん、おかあさん」 ぼくがいくらよんでもへんじをしてくれないのです。
 あのやさしいおかあさんは、もうぼくのそばにはいないのです。
 きょねんの12月8日に、 かまくらのびょういんで、 ながいびょうきでなくなったのです。
 いまぼくは、 たのしみにしていたしょうがく一ねんせいになり、 まい日げんきにがっこうにかよっています。
 あたらしいようふく、ぼうし、ランドセル、くつで、 りっぱな一ねんせいを、おかあさんにみせたいとおもいます。
 ぼくはあかんぼうのとき、おとうさんをなくしたので、 きょうだいもなく、おかあさんとふたりきりでした。
 そのおかあさんまでが、 ぼくだけひとりおいて、 おとうさんのいるおはかへいってしまったのです。
 いまは、おじさんおばさんのうちにいます。 まい日がっこうへいくまえに、 おかあさんのいるぶつだんにむかって、「いってまいります」をするので、 おかあさんがすぐそばにいるようなきがします。
 べんきょうをよくしておりこうになり、 おとうさんおかあさんによろこんでもらえるようなよいこになります。
 でも、がっこうでせんせいが、 おとうさんおかあさんのおはなしをなさると、 ぼくはさびしくってたまりません。
 でも、ぼくにもおかあさんはあります。
 いつもぼくのむねの中にいて、ぼくのことをみています。
 ぼくのだいすきなおかあちゃんは、 おとなりのミイぼうちゃんや、ヨッちゃんのおかあさんより、
 一ばん一ばんよいおかあさんだとおもいます。
 おかあさん、ぼくはりっぱなひとになりますから、 いつまでもいつまでも、 ぼくのむねの中からどっこへもいかずにみていてください。”

講演会

2013/05/14

今日の午後は、成田奈緒子先生の講演会&クラス別懇談会(おやつ会食含)を催しました。平日にもかかわらず7割強の保護者が出席してくれて、早寝早起きの大切さ、脳を使うためにはどんなかかわり(言葉かけ)をしたらよいか・・などなど、楽しいお話をたくさん聞かせて頂きました。会食時には95%の保護者が集まり、クラスごとに和気あいあいの懇談ができたようです。

とにかく今日からできる事を実行しましょう。★早寝早起き(遅くとも9時までには就寝、7時前には起床)★食事中はテレビは消す ★ちょっとでもいいから時間を作って、身体を使って子どもと楽しんで遊ぶ。      

トウモロコシの種まき

2013/05/13

下妻には、子どもの情操教育を育む等の活動している“わらべうたあそびランド”という団体があります。毎年、トウモロコシの種を撒いて、収穫して食する・・という活動もしています。その他、子どもの口答詩を採集して、『くさぶえ』を年2回発行することや、春・秋には、自然の野草などを採集して食したり、遊んだり…などなど。こういう活動を平成2年から継続して行っています。今日は、当保育園の年長児が、トウモロコシの種まきを体験させてもらいました。「長靴を履いてきてね。」との担任との約束も、日頃の草履着用が定着しているので、草履の子が3分の1ほどいたので、裸足の子どもがいるのはそのためです。晴れの予報に反して、曇りの少し肌寒い天気の下、子ども達は元気いっぱい畑を走り回って、少しヒヤヒヤしましたが、しっかりマルチの穴の中に、種を2個ずつ収めることができました。運動遊びの後、バスで出かけたので、この畑で指先活動ができたというわけです。(11時過ぎに園に戻りましたので、午前午睡は今日はしていません。)

保育園が心のふるさとに(part9)

2013/05/10

食材に触れて指先の運動量アップ

園では、乳児から積極的に体を使って運動機能を高めるプログラムを組んでいますが、年長児になると家事に積極的に参加する姿が保護者から報告されるケースが多くなります。親は、思っている以上に子どもがいろいろなことができることに驚いている様子です。子どもが家事に参加できることは、親子の関わりが増え、子どもは認めてもらえるので自信につながっています。このことは日頃の積み重ねが大きいと思っています。毎日9時~9時半の全身の粗大運動後、9時半~10時は、手指の微細運動で様々な素材を利用して、紐通し・型はめ・製作・折り紙などのほか、給食の素材も週に1回程度ですが、インゲンや蕗の筋とり・とうもろこしや玉ねぎの皮むき・レタスちぎりなど全園児ができることに取り組んでいます。この時間は、運動後なので体温が上がっているため、より集中して取り組むことができて一石二鳥です。子どもの集中できる時間は20分程度ですから、時間的にも丁度いいのではと思っています。


家事は、運動機能を高める最高の方法。フライパンやハンドミキサーを使って調理に挑戦する子どもたちは真剣そのもの

また、季節や行事に応じて、先にあげた梅ジュースや梅干づくりの他、お月見団子をつくったり、郷土料理の”スミツカレ”をつくったり、料理ではありませんが、へちまを煮てへちまたわしをつくったり、園庭で育てた”藍”で藍染をしたり・・・。また、お泊り保育では、お米を研いだり、カレーの材料を調達したり、材料を刻んで煮込んだり・・・。秋の芋煮会ではおじいちゃん、おばあちゃんを招待して園でつくったさつま芋がはいったさつま汁で会食をしますが、その野菜の下ごしらえは子どもたちがしています。このような体験を経て、卒園間近の3月には、親子でクッキングを実施しています。男女問わず、エプロン・三角巾を付けて、つくることも食べることも”楽しい”ということが身体に染み付いているので、意欲的に参加できています。

栄養士と調理員と保育士が連携を取り、協力し合いながら子どもたちと関わることで、初めて食育活動が成り立つと思います。保育園は生活の場なので、1日の生活全般が保育であり、食育であると思います。子どもを通して、親に、忘れられそうな伝統に気づいてもらい、子どもが楽しく生活することで、親にもゆとりが生まれてくると思います。こうしたことの積み重ねが親への啓発に繋がっているように思います。時間はかかっても、私たちができることを、できる範囲で実践していくことの役割があると思っています。地球の温暖化はますます進んでいて、暑さも年々厳しいです。が、子どもたちの笑顔から元気をもらって、今日も頑張れる私たちです。  

平成21年度 ーEM環境マガジン11回連載ーより抜粋

保育園を心のふるさとに(part8)

2013/05/09

近年核家族化と共に、食生活の乱れが気になります。朝食を摂らなかったり、おやつはお菓子の袋を預けられたり、好きな物ばかり与えていたり等々。こんな時だからこそ、日本の食文化の伝統や、食の大切さを子どものみならず親にも伝えていかなくてはならないと痛感しています。

園庭で野菜栽培


園内にある畑。子どもたちは見守り、育てた野菜のいのちをいただく

園庭に小さいながらも畑があります。調理残さや給食の残りをEMボカシと米のとぎ汁EM発酵液ですべて肥料化して、キュウリ、ナス、ネギ、シソ、ピーマン、トマト、サツマイモなどを少しずつくっています。作業は保育士が主に行うのですが、子どもたちは苗の成長を楽しみにして見守っています。花が咲いたら「きれいだね~」と喜び、実が付いてくると「大きい」「小さい」と言いながら収穫までを一喜一憂しています。こうして収穫できた野菜は、給食の食材で活かされますが、野菜が苦手という子どもでも挑戦してみようという気持ちが起こり、「食べられたよ、おいしいね」と笑顔を見せてくれます。

子どもたちが苗植えから参加するものにゴーヤづくりがあります。乳児室の窓際にグリーンカーテンで植えられたゴーヤは、子どもたちに苦い体験を提供します。毎年9月初旬の土、日曜日に行うお泊まり保育では、採れたてのゴーヤをジュースにして皆で飲みます。子どもたちはこの苦味は苦手ですが、いろんな味覚を体験する機会と考えて、毎回「ウエ~」という奇声を浴びながらも実施しています。

6月は夏祭りの園内みこしで振る舞われる恒例の梅ジュースづくりが年長児によって行われます。使用する梅は、保護者からいただいたり、ない場合は市販の梅を購入しますが、この場合米のとぎ汁EM発酵液でしっかり下洗いをします。年長児は、梅のヘタを取ったり、ジュースが抽出し易いように梅にフォークで傷を付ける作業を真剣に取り組みます。梅干しづくりでも毎年、ヘタ取りに活躍してくれます。


夏の一大イベント、園内みこしは子どもも保護者も総出で盛り上がる

園内みこしは、保護者全員のみならず祖父母も応援に駆けつけてくれる夏のイベントです。子どもたちが担いだみこしは、園を出発し、神社に行きお参りをして記念撮影。再び園に戻って会食します。この時にトウモロコシと梅ジュースが振る舞われます。皆さんマイカップを持参で、子どもや孫の手づくりジュースに目を細めて味わっておられます。保護者や祖父母が子どもや孫の成長を見守っているのと同じくらいとはいかないまでも、子どもたちは園庭で野菜を栽培する一連の行為から、食とはいのちを育て、そのいのちをいただいていることを体感しています。そして、「食べものさん、ありがとう」の感謝の気持ちを育んでいきます。私たち保育士は、幼児期こそ知識としてではなく、体験することを重視した保育をめざしています。

平成21年ーEM環境マガジン11回連載ーより 抜粋