ふるさとだより

三つのお辞儀の基本

2015/08/21

武士の娘だった祖母から教わった 気品ある女性になるための心得50
『女子の教養(たしなみ)』(石川真理子著)にある一節を紹介します。
昨年同氏の『女子の武士道』が話題になりましたが、それに続く実践編です。

《      「三つのお辞儀を基本に」
現在は正座してお辞儀をすることは、ずいぶん少なくなりました。機会がないかもしれませんが、両手をつくときは「三つ指ついて」というのは間違いであることは憶えておくとよいと思います。
正しい手のつき方は、膝の少し先に両手で三角形をつくるように置くのです。
理由は簡単で、三本の指しかつかないと安定せずに不自然だからです。
『武士道』に、礼とは「もっとも優美でもっとも無駄のないやりかた」であると示されているように自然な動作が基本なのです。立って行うお辞儀の基本は腰の角度が十五度、四十五度、九十度になる三つです。
十五度は軽い会釈で、通りや廊下ですれ違う時などに用います。
目上の方にご挨拶したりお礼を申し上げたりする時は四十五度のお辞儀、神社の参拝など特別な場合は九十度です。
また、お辞儀をする際に、肘ひじをほぼ直角に張って両手を前で組むようなことはしません。
正しい姿勢で立つと自然と手は大腿部の真横よりやや前に垂れるものですが、そのまま上体を腰から曲げていくと、
それに応じて手は大腿部をすべりながら自然と前に出ていきます。
九十度のお辞儀の場合は膝頭に手のひらがつくくらいになります。
上体を起こすと両手も自然ともとに戻ります。
詳しくは礼法の本などを参考にしていただくとよいと思います。
祖母は実に簡単に、三つのお辞儀と共に次のように教えました。
「まちがっても頭だけ下を向けたり、  顎をこっくり前に突き出すようなのもいけないよ」
たったこれだけでも、お辞儀をした時の姿がずいぶん違ってくるものです。
また、お辞儀の後も忘れてはなりません。
お辞儀をして頭をあげた後こそ、心が伝わる瞬間だからです。
「お辞儀をしたと思ったらさっさといなくなる、これもよくないよ」
私はこの教えに従って、頭をあげたらあらためて相手の目を見て、
わずかに頷くようにしてからその場を離れるよう心がけています。》