ふるさとだより

自己肯定感を高める2つのポイント

2014/05/22

標記について、堀口英則(金沢星稜大学進路支援センター長)氏と、漆紫穂子(品川女子学院校長)氏の対談記事があったので紹介します。

《堀口 私が金沢星稜大学に赴任した当時、学生たちにアンケートを取って驚いたことがあります。
専門業者が行っている入学後の学力や性格テストの全国比較で、うちの学生は全国の同年代の大学生と比べて、「自己卑下(コンプレックス)」や「劣等感」の感情   が5倍も強かったのです。そういう状況ですから、赴任した年の7月の時点で4年生の7割が未内定でした。
漆  ああ、そんなに……。
堀口 学生に「どうして君は就活しないの?」と聞くと、「別にいいんです、どうせダメだし……」と、最初から諦めている。
8月頃にも企業から求人票が来ていて、中には“掘り出し物”のような求人も来るんです。「チャンスだよ、受けるだけ受けてみたら?」と勧めても
「俺なんか無理ですよ」と。
漆 そこからどう導いていかれたのですか。
堀口 「どんなバッターだって打席に立たなければまぐれ当たりもないんだ。1回でも2回でも多く打席に立つこと。君は銀行向きだから大丈夫だ!」と褒めまくりです笑)。
それでどうにか重い腰を上げて動き出しました。
遡って金沢星稜大学の過去の就職実績を調べてみると、当時は経済学部のみの単科大学なのに銀行や信用金庫などの金融機関はゼロで、ほとんどが中小企業。
そもそも大手や金融機関、まして公務員なんて最初から無理だと思って受けない学生が圧倒的でした。
だから私は「企業を選ぶな」と言い続けました。
規模はもちろん、業態や業種、職種、給料、休日などの条件も含め、企業側から「内定! 来てね」と内定をもらってから初めて学生は自分の進路を選ぶことができるよ うになります。 それから自分にとって最善の進路を考えればいいわけで、その前に「自分探し」などするんじゃないと。
だから、まずは「打席数を増やせ」、同時に「空振りを防いで打率を上げる訓練をせよ」というわけです。
(中略)
漆 実は私も「自己肯定感」をテーマにしてきました。というのも、「子供の未来のために何をすればいいか、これだけはというものを教えてください」
と親御さんから聞かれることがあるんですね。
30年この仕事をやってきて、これだけはというと、自己肯定感を高めることだなと思ったんです。
堀口 いやぁ、それは本当に大事だと思いますね。
漆 自己肯定感の対義語は被害者意識ではないかと思うのですが、まず自分を認め、自分に共感する力がある。
すると相手の気持ちも分かるし、認めることができる。 ひと言で言うと「自分が好き、人も好き」ということではないかと思うんです。
そういう子は面倒見がいいので、人にも好かれて、なんとなくいつも周りに人が集まってくる。
自慢話も嫌味にならないで、みんなを楽しませて、結果的に周囲にも貢献できる。そういう人に育つと自分も幸せで周りの人も幸せなのかなと。
で、私の周りの大人で自己肯定感の高い人に「どういう親御さんでしたか」と聞くと、共通点が2つありました。
堀口 どんなことですか。
漆 例えば、よその人に何と言われても「それならそれでいいです」という感じで、「とにかく私はあなたの味方」「何があっても私はあなたを愛している」
というメッセージを送り続けているんですね。 その時、「こういうことをしたら嫌いになるわよ」と条件づけをするとダメなんです。
行動は叱ってもいいのですが、存在は無条件に肯定する。無条件の受容です。
もう一つは、子供がチャレンジする時に「どうせ無理よ」とか言わないこと。 「やってみれば」とチャレンジさせてあげて、できた時に褒めてあげる。
無条件の受容と、やればできるという自信を持たせてあげる。この2つが自己肯定感の高い子を育てます。》  ・・・だそうです。